調整と整理の違いを覚えよう|公務員の仕事術
どんなに事務力が高くても、調整力が欠けていると調整事項が生じ、ことが上手く進みません。これは、相手の課に出かけた場合に大きな問題になりやすく、一度こじれるとそのフォローがとても大変になります。調整力が高い人はこういったトラブルは少なく、基準に沿って正しく整えることができます。たとえば、ある業務で2つの係のどちらで処理をするかで揉めた場合、調整力が高い人は意見を丸く収めることができますし、その丸く収めた意見を正しく整えることができます。それができない場合、先ほどの業務は自分の立場からの主張ばかりで一向に解決しないでしょう。
ただ注意してほしいのは、調整力とはただ複数の関係者の意見を丸く収めるだけではありません。それは前述しましたが、そこからさらに正しく整える能力こそが真の調整力なのです。丸く収めるだけでは、それぞれの主張を都合の良いところだけを取り、表現をごまかしているだけなので、何れ問題が発生します。要するに表面上でしか解決していないのでふたたびトラブルが起きてしまうのです。調整力は、公務員にとって欠かせません。そして、大事なのはその基準であり、その基準から正しく整えていくことになります。ちなみに、公務員が「交渉」という言葉を使うことはほとんどありません。使う場面があっても、「労使交渉」「用地買収交渉」「納税交渉」など限られているでしょう。交渉力が求められる場面では重要視されますが、基本的に求められるのは調整力になります。少し前に2つの係り間でどちらの業務を処理するかという話をしました。このとき、正しく調整できる人は調整力に長けているとも説明しましたが、核心をいうと所掌事務を定めた組織規則の規定の解釈=調整になります。
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公務員にとって調整はとても重要ですが、「整理」もよく使われる言葉です。分かりやすく簡潔にいうと、「新たに生じた事態などへの対応の考え方になります。いわゆる、筋を立てて話すことを「整理」といいます。調整された結果は、きちんと整理して今後も説明できるように筋を通しておかなければいけません。そうすることでその先も困ることなく安心して仕事を進めていくことができるのです。ただ調整するだけでは、後々大いに困ることになります。それを避けるためにも、調整力だけでなく調整したことをしっかり整理できるように心がけましょう。筋の中身にこだわることがもっとも重要になります。筋が通っていなければ、大幅な見直しを求められる可能性もあるでしょう。そして、整理が不十分だったことで迷惑をかけることになる可能性も、自身が痛手を負うこともあります。正しく整理していくためには、きちんと法令の基礎的なことを理解し、具体的な整理事例を理解する必要があります。もし整理が求められたら、まず事例を探し、もし事例が見つけられない場合は上司や先輩に相談してください。整理は、経験がものを言います。分からないまま進めてもきちんと整理することはできませんから、経験者である上司や先輩に相談するのがベストです。そしてその事例を理解し、筋が正しいか事案の適用は正しいかを検討しましょう。小さなところに落とし穴がありますので、十分注意して進めていくことが大切です。