上司の目線で書くことを忘れない|公務員の仕事術
仕上がりが期限間近になり持ち回りで決裁をいただいた起案に限って、後になって誤りが見つかることがあります。それでこっぴどく上司に叱られた経験はありませんか?ここでのポイントは、至急のときほど要領良く行うことです。特に公務員1年目はこのような失敗が多く、たとえば予算要求の起案で段取りが悪くギリギリの作業になってしまったとします。上司のチェックもそこそこになんとか提出することができましたが、その後どんどん出てくる数値や誤植などの誤り…。さらに新規・増額要求のポイントの説明も不十分であったため、予算がつくまで苦労したという話です。公務員1年目なので経験不足によるものですが、公務員にとって文書はとても重要です。文書主義である以上、正式な決定手続きをしなければいけません。そして、すべては起案決裁によって変わってきます。起案決裁とは、ただ書類を作成し印鑑をもらうことではなく、決裁を通してきちんと上司に説明し、判断をもらわなければいけません。組織として意思決定することが起案決裁になるのです。起案文書の書き方は、「公文書作成の手引き」で確認できます。
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新人であれば研修で学ぶことができるでしょう。しかし、多くの職員は用字用語や配字などの形式面ばかり気にしてしまい、大事なことを見逃しています。大切なのは、「上司を通して理解・判断を求めるために、上司目線で判断材料になるものを簡潔に取り入れる」ことです。判断するにあたり上司が知りたいことは「報連相」で説明したことの応用になります。1.その起案は何なのか、2.決定を要する理由、3.起案の趣旨です。1ではタイトルで分かるように「〇〇について(回答)」と書きます。これなら、回答の起案であることが一目で分かるでしょう。2では、「〇〇法第〇条に基づき」「平成〇年〇月〇日付け 〇〇〇で依頼のあったとおり」という風に冒頭に書いていきます。そして最後に3の起案の趣旨を「〇〇してよろしいか伺います」などタイトルと一致させ首尾を一貫させましょう。ここで矛盾があると、上司はきちんと理解できません。あとは、「記」以下に「結論」「理由」「根拠」「予算」「参考資料」などを簡潔に書いていくと良いでしょう。上司目線で書くことで、上司も理解しやすくきちんと伝えることができるはずです。
なお、前述した起案文書は保存されます。起案だけですぐに分かるように必要な資料はすべて添付しておきましょう。このとき、付箋やインデックスなどが役に立ちます。また起案をもとにする場合でも「情報公開」「個人情報保護の区分」「保存年限」「決裁区分」は、情報公開条例や個人情報保護条例などに基づいて確認しましょう。起案文書は後の先例ともなるものですが、先例が正しいとは限らないからです。